温浴人最前線 TheBoiler02

温浴人最前線 ザ・ボイラー

温浴人最前線ザ・ボイラーVol.1[2013.10.23発行]

温浴人最前線
ザ・ボイラー
Vol.02

[2014.11.26発行]

神田悠司氏

温浴人最前線
中山貴伸氏

藤橋遼氏

渡部郁子氏

長沼秀三氏


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神田悠司氏

[プロフィール]

■1980年 京都府生まれ
■2002年 大塚製薬株式会社入社
現在大塚製薬株式会社にてニュートラシューティカルズ事業部で販売促進の仕事に従事する。
また、大塚製薬水泳部を引っ張るエース。水球やトライアスロンなどあらゆるスポーツをこなすスーパーアスリートで一児の父。

[大塚製薬株式会社]http://www.otsuka.co.jp

大塚製薬は1964年に徳島で設立。世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造するという「Otsuka-people creating new products for better health worldwide」の企業理念のもと、人々の健康を身体全体で考え、疾病の治癒から日々の健康増進までを目指した「医薬関連事業」と「ニュートラシューティカルズ関連事業」の両輪で、トータルヘルスケアカンパニーとして事業展開。

大塚製薬株式会社
横浜支店営業所
ニュートラシューティカルズ事業部 営業1課 販売促進担当
熱中症予防指導員/健康管理士一般指導員横浜

神田 悠司 氏
×インタビュアー鬼塚麻子

(鬼塚)大塚製薬という大きな会社の方とお話し する機会はなかなかないので、
この機会に神田様に仕事や志し、プライベートまで色々興味深い 事を聞いていきたいと思います。

まずは大塚製薬…製薬と書いてありますが…
(神田氏)あ、はい。
大塚製薬というのは、名前の通り製薬会社なんです。けれど少し特殊な会社でして『医薬品事業部』いわゆる病院のお薬の部門と、私の所属している『ニュートラシューティカルズ事業部』という食品を通して健康に貢献する部門があります。
その二つの両輪でやっているのが大塚製薬なんです。

■ニュートラシューティカルズ…聞いた事のない言葉ですね。しかも言いづらいし(笑)
(笑)そうですね…それも意図的なんです。
実は、ニュートラシューティカルズというのは造語で『ニュートリション(栄養)』と『ファーマシューティカルズ(薬)』という〝栄養〟と〝薬〟を足したものなんですよ。
ただの飲み物や食べ物ではなくて、人々の健康に役立つ商品を出していこうという事を会社の方針にしています。

■人々の健康に役立つ商品…というのは?
たとえば、普通の飲料メーカーさんだったら〝一番美味しく感じる〟とか〝一般の消費者の方に受け入れられる味〟と味重視から入ると思うんですけれども、我々は製薬会社という事で、〝人々の健康の為に役立つ製品〟という所から入っていくのが特徴です。

■確かに他社さんとは専門的でちょっと違うかもしれませんね。
ところで〝役立つ製品〟って…研究者とかいるんですか?
はい。そこは製薬会社なのでしっかりと考えており、世の中にない革新的で、且つ科学的根拠に根ざした製品を作っております。

■病院で使う点滴とかを作っているのに「何となくいいですよ」じゃ、よくわからない…むしろ不安ですよね(笑)ちゃんと良くないと。
そういう点、細かいデータがあるって安心ですね。
自社の研究所はもちろん、外部の研究機関や専門家とも協力しながら、研究開発しています。

■常にそういう専門家のバックアップもあるという事なんですか?
そうですね。
話を聞きに行ったりというのもそうですが、講習などの活動の中で色々ご一緒させていただいたりしているんです。

 

そう言えば、神田様の肩書きに
『熱中症予防指導員』『健康管理士一般指導員』とありますが…

それぞれテストを受けて取った資格なんですが、今私は販売促進という仕事をしています。

■販売促進…花形ですね!
花形…かどうかはわかりません…(笑)
一般の営業という形では代理店さんとかスーパーさん、ドラックストアさんとかのお店を回ったりするんですけれど、販売促進では、その一つの商品が消費
者の方に〝何にどういう健康に役立つか〟というのを一人ひとりにちゃんと伝えていくというのも仕事になります。
ただ商品の選定をするだけではなく、その背景にある消費者の方の健康というのを一緒に話した方がより消費者の方の健康に貢献できるのでそれで、この『熱中症予防指導員』であったり『健康管理士』という色々な勉強をさせていただき、商品の宣伝だけでなくてトータルで皆さんの健康に貢献していこうと。
お店さんとも直結した取り組みをしていますし、また、学校に行ったりとか会社に行ったりとか直接消費者のいらっしゃる所に行って講習をさせてもらう事もあるんですよ。

■ちょっと奉仕的な部分もありますね。
ありますね~。特に学校なんかは夏場何十回と熱中症の講習会をさせていただくんですけれど、学校によっては企業名はいいけど商品名は出さないでくださいって所もあるんで。 

講習用パンフレットも色々■そうなんですか?それでもやられるんですよね?
まずは熱中症を無くそう、というのが大塚製薬の掲げている目標でもあるので。
(1冊パンフレットを持って)ポカリスエットって入ってないパンフレットもあります。

■本当ですね…イオン飲料…になってますね。
はい(笑)

■でも、社会貢献だけじゃ続けられないですよね。
(笑)もちろん。
そこから何か商売に結びつけていくんですね。
そういう活動を幅広くやっている中でもし、ご自身が気になさっている中で大塚の製品がいいと思ってくれたのなら、ドラックストアとかスーパーで購入していただければいいですね。
会社さんとかだったら、売店とかで小売りして頂いたりとか…最終的には繋がればいいかなと思いますね。

■大塚製薬の社員さんはみんな、そういう資格を持った専門家なんですか?
全員ではないんですが、定期的に社内でも色々な勉強会とかありまして、熱中症に関しては資格があるなしに関わらず、全社員が講習ができるような勉強はしています。

 

お風呂と水分補給の話は切っても切りはなせない関係にあると思うのですが、
実際の所どうなのでしょうか?

やっぱり水分補給というのはすごく大切になってくると思います。
例えばお風呂に10分~20分入った時、上がった後も汗をかくとおもいますが、そうすると1回のお風呂で1リットル近くの汗をかく…脱水をすると言われています。

■1リットルってすごいですよね…
私も勉強してびっくりしたのですが、皆さんが思ってる以上に水分が失われているのでしっかり水分補給をしないと水分が足りなくなるっていうのはありますよね。

■お風呂上がりに立ちくらみしたりしますが、お風呂の事故って多いですよね。
コレも水分が関係しているんですか?
関係していると思いますね。
脱水をして水分が足りなくなってしまうことで、様々なお風呂での事故の一つの要因になるとも言われています。
そういうものの予防にも、水分補給っていうのも一つの解決法としてありますね。
その他にも、湯船の中って温かいですが、一方
脱衣所がすごく寒かったりして…ヒートショックと言われる温度差で事故を起こされるような方もたくさんいらっしゃいますね。そのあたりも気をつけてもらった方がいいですよね。

■これからの季節、どんどん寒くなってきて温泉やサウナが気持ちいい季節になってきますよね。
そうですね。おすすめとしては〝脱水をする前に飲みましょう!〟という事で、お風呂入る前にちょっと1杯2杯飲んでから入っていただくというのが理想ですね。
一気にがぶ飲みではなく〝入る前〟〝入浴中〟〝入浴後〟とこまめに飲む事が理想の飲み方ですね。

■飲むものは何かおすすめですか?
…(笑)おすすめはやっぱり『ポカリスエット』か、『ポカリスエットのイオンウォーター』ですね。
水分の吸収を第一に考えて作られているのでお風呂やスポーツのシーンにもぴったりかと思います。

■意地悪な言い方ですが、
夏には『麦茶』がいいとか、『炭酸水』が体の疲れを取るのにいいとか聞きますよね。
そちらの方はどうでしょうか?
もちろんミネラルとか入っているというのは、駄目というものではないのですが、どっちがいい悪いではなくて、大塚製薬の『ポカリスエット』というのは〝脱水時の水分補給〟を追求して作られているので適したドリンクだと言えると思います。
もちろん、その人の求められるものによって飲み物も変わってくるのかなぁと(笑)
 

■専門的な知識とデータに基づいた飲み物で、単なる飲料ではないということなんですね。
温浴施設、どこに行っても『ポカリスエット』が置いてありますものね。
そうですね(笑)
置いていただいているとありがたいですね。

■お風呂も安全に楽しまなきゃ、台無しですよね。
せっかくなのに事故を起こしてしまったら意味のないものですよね。 

水分補給レクチャー。団体から個別まで対応。 必要な情報を必要な方へ丁寧に伝えます。■『熱中症予防指導員』の神田さんにお尋ねします。毎年夏になれば〝熱中症〟って言葉を聞かない日がない位ですよね。私たちが小さい時には気温が30度行けば暑い暑いと言っていたのに…
…(笑)今は40度近くまで上がっていますからね。

■もはや一般的なものですね。
そうですね。気候や環境的な問題があったりとか、産まれた時からクーラーのある生活をしているので熱中症に弱い体になってきていると言えるかもしれません。

■クーラーの下だと弱い体になるんですか?
小さい頃から汗をかかずに育っていると、汗のかきづらい体になってしまい、うまく自分の熱を下げる事が難しい体になるんですよね。
本当にただ温暖化っていうだけ以外にもそういう所の環境が変わってきていると言えます。

■私は小さい子供がいるので、外は暑いからクーラーで涼ませてあげないとなって思いますし、だからといって炎天下の下、汗をかく環境に出すのも怖いですよね。そういう時ってどこで兼ね合いを取ればいいんですかね?
外に出す時間とか長さとか…朝の涼しい間に出すというという工夫もありますし、また汗をかいた分きちんと水分補給をするという事で防げる部分もあります。
特に小さなお子様は大人よりも体に熱
を貯めやすく、体に必要な水分量も多いので気にしてあげないといけないですね。 

■汗をかけるような環境…外以外ですと、お風呂やサウナもそうですよね。
そうですね。
汗をかいて水分補給をする事で熱中症になりにくい体を作る事はできるかもしれませんね。

■気にしているとはいえ、どれくらいの水分を摂取したらいいかわからないと思うんですよね。
大人も含めてですが。
そうですね、脱水した分その時に飲むというのが重要になってくると思います。
またただのお水ですと、体の体液のバランスが変わってくるので、やっぱり吸収が悪くなってしまうんですね。
汗って舐めるとしょっぱいと思うんですが、しょっぱいという事は一緒にナトリウムが出て行ってしまっているという事なので、出て行ってしまっているのにお水だけ摂取すればナトリウム等が不足してしますのでやっぱり出て行ったミネラルを補給しましょうというのが体にとっては一番いいんですね。
全てとは言えませんが、失った水分を補うっていうのは熱中症にならない為の重要な一つですね。
 

 

仕事をしている中で生き甲斐に感じる所、良かった所はなんですか?
やっぱり、ただ物を売るだけの仕事ではなくて、そういう背景にある健康に関するデータを持っていて、自信を持ってお客さまに自分の商品をおすすめしたり…それが使っていただく方の健康や活躍に繋がっているなぁと実感できるっていうのは生き甲斐になりますね。

■売っているものは〝モノ〟だけではなく〝情報〟も、という所なんですかね?
情報や知識を通して健康を提供できるという…すばらしい事ですよね。
自分の会社ですが、そうですよね~(照笑) 

■その中で大変な事もあるんじゃないですか?
すぐに新しい商品が出てくるので。
勉強しながらどうやったら消費者の方に伝わるか…悩む所ですね。

 

聞いていて、神田様の『会社愛』を感じるのですが…(笑)
どこから生まれてくるんですか?

うーん、大塚製薬に入りたいと思ったのが、今と逆の立場で。
高校で部活をやっている時に販売促進の営業の人がクラブに来てくれて、(健康に関する)そういうお話をしてくれたというのが印象に残っていて…

■それは大塚製薬の人なんですか?
はい。そうだったんです!
それがすごく印象に強く残っていて…この会社に入って働きたいなぁって、思いを持って入社したので。
〝この思いを持ち続ける〟という事を忘れないで働いていきたいなぁと思っています。 

■神田さんは明確な目的と志しを持っているから…きっと変わらぬ気持ちを貫けると思います!
社員研修とかでよく話される話なのですが…
私が生まれた頃の話なのですが、大塚製薬でボーリング場を作ろうって話があった事があるんですね。

■え!?(笑)なんでボーリング場なんですか?
わからないです(笑)でも、ボーリングブームっていうのが来ていて。
じゃぁ参入をしようって言った時に取締役会で「それは10年20年先に人々の健康の役立てる事業ですか?」って問いかけがあって「違うよね?」って…なくなった事があるんですね。

■ちょっと世の中の波に乗ってみようと思ったけれども、原点に立ち返ってみたということですね。
ボーリング場作ってたら変わっていたでしょうね、会社が。
そうですねぇ~(笑)

 

 

今まで仕事の事を聞いてきましたが…プライベートを(笑)…ご家族は?
子供1人(1歳半)で3人家族ですよ。 

■ご自身は…何が好きですか?
スポーツが好きなので色々やっているんですが、元々は水球を。 

■水球!?また、ハードそうですね。
今もクラブチームに入ってやってます。
それに、大塚製薬にも水泳部というのがあって、そこに所属して大会にも出ています。今年で8年目。

■大塚製薬さんってそんなにクラブとか充実しているんですか?
そんなにたくさんある訳じゃないのですが、実業団クラスでいうと、大塚製薬には陸上部があり、ロンドンオリンピックの日本代表として400mに出場した金丸祐三選手も所属しています

■…!そうなんですか!そんなトップクラスの選手を育てている会社なんですか?
えぇ、はい。あと駅伝が強いのでニューイヤー駅伝も出ているんですよ。
Jリーグ『徳島ヴ
ォルティス』も、もともと大塚のサッカー部からスタートしたんですよ。

■やっぱり体の事を第1に考えている会社だからこそ、いい体を作れ、
優れた選手が生まれるという事なんですかね?
そうですね。そういうのもありますし、大塚製薬の水泳部が発足した理由として、我々は実業団という形で毎日仕事の時間を裂いて練習をやっているわけではなく、本当に有志の集まりで自分で時間を見つけてやっているんです。
やっぱり〝真剣に水泳に取り組む〟って所と、自分たちの〝商品〟を使ってそれを体感して、それを周りのチームにも伝えていく情報発信の場としても。
 

■すごいですね。
趣味と実益を兼ねているという事ですね。ある意味それも仕事と言っても過言ではないような?
(笑)そうですよねえ~。
人にものを言うに
はまず自分が体験してみてやってみた結果を見せるのが早いですよね。

大塚製薬水泳部。東京都実業団水泳競技大会では男子3年連続(2010-2012)、女子5年連続で(2010-2014)総合優勝の実力者揃い。■神田さんが健康であればあるほど、「あぁ、だからいいのか!」と納得できますよね。
そういう思いもあって水泳部も活動しています。説得力とか伝える思いとか違ってくると思いますし。

■ちなみに奥様って何のスポーツをやられているんですか?
嫁は陸上をやっていました。会社は全然関係ないですね。一緒にマラソン走ったりするんです。

■お子様とは将来一緒に水球ですか?(笑)
何か一緒にできたらなぁ~と。
妻もスポーツをやっているので子供と共にスポーツを楽しみながら楽しい生活ができたらなぁって。

 

そういえば最近、こどもの体力低下がよく言われますよね。
日本体育協会さんの取り組みで、『アクティブ・チャイルド・プログラム』と言って今すごい活動しているんです。
熱中症の話もそうなんですが、子供が外に出る事ができず体を動かすシーンとかすごい減ってきていて、家の中でテレビ見たりゲームしたりって環境が増えているので…。
ルールとかで縛られたスポーツをさせるのではなくて、本当に飛んだり跳ねたりという基本的な動作を遊びの中で子供たちにやらせていこう、
体の動かし方とか身体能力を作って行こうって取り組みをされているみたいで。

■確かに。
私も一児の母として、熱中症もそうですが、不審者や蚊やらで外に出すのが怖いですよ。
TOKYOかけっこクラブとのコラボイベント
子どもの声が騒音になるって話もありますし。
色んな要因で外で遊ぶ機会が減ってますよね。

そうですね。遊べる場所とか環境的なものとか色々。心配で外に出さないっているご家庭もありますしね。
そういうのの食い止めの一環で取り組みも進んでいるみたいですね。

■いいですね!
お子様の学校にお父さんが説明しにきたとかあっても面白いかもしれないですね~(笑)
そうですね!(笑)

[インタビュアー 鬼塚麻子 2014.10]

 

温浴人最前線

中山貴伸氏

[プロフィール]

■1974年 5月5日生まれ。
■1994年 株式会社高山商会 ビルメンテナンス業(主に清掃全般)責任者
■2002年 株式会社ダイレオ 温浴・プール設備機器メーカー取締役営業統括部長
■2010年 株式会社ビーエスオー 経営コンサルタント営業・企画分野を担当
■2012年 ラッフル企画 代表
現在、営業育成ブランド『GA・BAI(我売)』を立ち上げ日々人材教育・サポートに取り組む。

[ラッフル企画]http://gabai.hp4u.jp

出逢う人の「笑顔(ラフ)」を「満タン(フル)」にしていきたい、2012年ラッフル企画がスタート。営業人・接客人の我売化(カスタマイズ育成)事業を中心に、営業・販売促進の企画支援や設備・メンテナンス支援業務に力を入れ、2014年2月からネットショップ『ラッフル倉庫(http://www.ruffle-soko.com)』も開設。

その笑顔が見たいから僕は頑張れる

僕を熱くするのは「営業(接客)ができない・苦手」という人を無くしたいという想い

 僕が営業職と出会ったのは温浴設備機器メーカーの会社で勤務していた時です。メーカーの営業でしたので、当然当初は「物を売る」事に必死で取り組んできました。又、担当エリアを持っていましたが、そのエリアは変更される事もあり、別の担当者になってもお客さんが買ってくれる事に「僕じゃなくてもいいのか」と、変な悩みを持ったのを覚えています。
 その頃から「○○会社の中山」ではなく「中山が所属しているのは○○会社」というように、まずは「僕を知ってください 」というような営業スタイルへと変わっていきました。会社の看板や、商品先行で営業するのが嫌だったんでしょうね(笑)

僕に「本当の営業とは何か?」を教えてくれたのは、お客さんでした。

 担当当初は自社から商品を買ってくれていなかったお客さんも、いろいろと取り組みを重ねていくうちに自社の主要顧客になってくれる事が多くなり、営業が益々好きになっていきました。
 そんなある日、主要顧客のお客さんの一人と夜遅くに電話でいろんな話をしていた時です。
競合他社(R社)の安売り営業が気になり、そこからの横やりでそのお客さんの気持ちが変わるのではと恐れた僕は「〇〇さん、もしR社が値引きしてきて、そちらの方が良くなってきても、その時は絶対教えてくださいね…」と言ってしまった時、この言葉にお客さんが本気で叱ってくれました。
「中山君、お前はまだわかっとらんなぁ!俺たちはお前という人間やから商品を買っとるんやで。値段の問題じゃない!」…。
僕はすごく胸を打たれ、気づけば電話口で涙を流していました。営業、人づきあいにとって最も大切なものが何か?をお客さんから教わりました。そのおかげで、今でも「お客さんに育ててもらう」という考え方が、自分のスタイルの根底に根付いています。

事業をする目的は「お役立ち」であり、モノやサービスはその為の「ツール」でしかない

 有難い事に、僕のところには営業の相談や、接客(人づきあい含め)の悩みなどをたくさん戴きます。特に「営業ができない」とか「営業が苦手」「(接客に)自信がない」等の相談には、痛切なものを感じると共に、「絶対この人が『自分の足』で一歩一歩進めるようにしたい!」と燃えます。そこで僕が取り組む営業支援とは、一般的な営業のセオリーを教えるのではなく、その人が、その人なりに営業人(接客人)として成長していける為の「営業のカスタマイズ」というものです。例えば、営業の相談で多いのが「話す事が苦手なんです」という相談です。そんな人も、こちらからの質問や投げかけには返事が
できる場合がほとんど。そういう人には、面談でお客さん側から話したくなるような営業ツールを一緒に創ります。又、「新規開拓先をイメージできない」という相談には、「積極的サボり」(勝手に僕がつけた名前です)の手法で発想力を磨けるよう一緒に取り組みます。全て机上で伝えていくようなやり方ではなく、その人・組織が自分たちで取り組みやすいやり方を開発してカスタマイズしていく。それが僕の志事
(仕事)です。

「手間」は、かかるものではなく「かけるもの」

 営業(接客)のカスタマイズにはいろんな取り組みが必要です。なので、よく「中山さん、よくそんな手間な事やってられますね」と言われたり、相談者から「あのお客さん、手間のかかる事ばかり
うちに依頼してくるんです…」というような悩みを聞いたりします。でも、「手間」ってなぜ面倒臭いものという捉え方をするのでしょうか?飲食店の差別化で代表されるように、「ひと手間(工夫)」がある事でそこに価値を感じるお客さんに喜んでもらえているのではないでしょうか?事業(お役立ち)とは、そもそも「人が困っている事実」があるから挑戦させてもらえる課題が存在するものと思っています。人が困っているのですから、そこには必ず「手間」が存在する。この「手間」を、面倒なものと捉えるか「ひと手間かけるもの
(価値を創りだしていく課題)」と捉えるかによって、取り組む姿勢も、そしてお客さんの満足度にも大きく関わってくると思います。僕は、戴く相談や課題を「どんな手間(工夫)を加えると、お客さんの課題がより解決できるか?」と考えていきたいので、この「手間」というもの…大好きです。

どんな営業や接客も、大切なのはやはり「人」である

 営業が苦手、接客がうまくできない、という
「その状態を改善する」事はあらゆる手段でやっていけると思います。が、僕が一番大切にしているのは、「○○さんから買いたい」「○○さんが居るから、このお店に来ている」という、自分自身をしっかり売っていけるスタイルづくりです。これを僕は【我売(がばい)】という、僕なりの営業
(接客)ブランドとして取り組んでいます。この【我売】の理念のもと、その人や組織に合った「営業(接客)のカスタマイズ」に取り組み、そして依頼主が自分たちの足でしっかりと歩いて行ける状態にできた時、そこに営業や接客への「想い」に火がつき、将来の夢に目を輝かせた本当の笑顔が生まれる気がします。そんな笑顔を創りたい。その笑顔が見たいから僕は頑張れるのだと思います。

僕の生き様は、僕が決める

 営業(接客)の相談を受ける時、僕はあまりお金の事は考えません。 …それでよく奥さんに叱られますが(笑)。でも、いつか僕も人生を終えた時に、「あの人、よく儲けた人やったなぁ」という評価より、「あの人と挑戦したおかげで、今の自分たちがある」と思ってもらえるような生き様・活き方をしていきたい、そう思っています。お金を先に考えない事に腹をくくった時、お客さんも仕事仲間も、全て「パートナー」として考える事ができ、その相談事(お困り事)に自分なりに精一杯役に立ちたい!という想いだけで取り組む事ができる気がしてます。「そんなもの、事業じゃないよ」とどんな人に言われようと、僕にはしっかりと
した事業(お役立ち)なんです。大きい小さいなんて、僕にはどうでもいい話です。

「何屋さんですか?」と聞かれたら、間違いなく「何でも屋です」と答えます

 僕の夢は、どんな営業(接客)の相談事も、全てにお役に立っていける事。そして、ラッフル企画に関わってくださる方全てに笑顔溢れる状態が創れる事です。その為には、僕自身がいろんな事例に取り組むモルモットとなって、体験を積みつつ、課題の解決へ挑戦し続ける必要があると思っています。だから、「何でも相談を受けている」んです。その取り組みの先には、きっとたくさんの「笑顔づくり」が実現できている!そんな事を夢見て、今日も「何でも屋」は走り続けたいと思います。
 皆さんの、そして皆さんの現場の笑顔づくりに、一緒に取り組める日を楽しみにしています。

 
 

温浴人最前線

久下沼伊織氏

[プロフィール]

■1982年 兵庫生まれ。
      親の転勤で、兵庫から都内の目黒・下北沢・吉祥寺と引っ越しを繰り返し、
       ニューヨークにも2年程住む。
       その後吉祥寺に戻り、再び用賀・経堂と引っ越しを繰り返す。地元が欲しかった。
■2001年 砂漠の緑化という壮大な夢を持ち、東京農業大学に入る。地球を救いたかった。
■2005年 日本一の造園会社と言われている会社に入社。
■2007年  緑化とは一切関係無い広告代理店へ転職。お金が欲しかった。
■2010年 株式会社デライト・マーケティングを立ち上げ、代表取締役に就任。
■2013年 日本残業協会を作ってみる。

[日本残業協会]http://zangyou-kyoukai.com

日本残業協会(JOA:Japan overwork association)とは、仕事を遅くまで頑張る人達を応援する協会。どうせ残るなら、面白い方が良い。モチベーションを上げて、効率を上げて。良い仕事をして、早く帰ろう。日本は私たちの力で、まだまだ明るく出来る。

自分自身で行動に移すことが出来る限り、
変えられない事は無い

日本残業協会とは

 本協会は、「どうせ残るなら、楽しく。効率良く。」というテーマを掲げ、仕事を遅くまで頑張る人達を応援する協会になります。
残業の是非を問う団体ではなく、残業の際のモチベーションアップの手伝いを行うことで、仕事を早く終わらせてもらうという目的を持ち、集まった団体になります。
仕事を早く終わらせる事で、社員は健康な体を持ちます。健康な社員は企業を潤し、潤った企業は社員にお金と良い仕事環境を還元します。
そして社員に時間と心と懐の余裕が出来ることによって、飲食店や娯楽施設までもが潤います。
これらの良い循環が生まれる事により日本経済が活性化し、結果日本を明るくすることが出来ると考え、その一翼を担いたいと我々は考えます。

現状、日本は残念ながら残業時間が多い国です。

 最近は残業禁止の形を取る企業が多くなってきましたが、実際は仕事が終わらなければ投げ出す訳にいかない。という矛盾が存在しているという実情です。
〝仕事を投げ出す訳にいかない〟その生真面目さが日本人の良い部分だと思いますが、反面、自分自身を追い込んでしまうケースもあります。
例え仕事に一生懸命でも、自分自身の健康や、家族や友人との時間は、何より大切にするべき思います。
残業協会は、この実情を一旦受け止め、「残業時間を如何に効率良く、楽しく過ごすか。」
という点にスポットを当て、探求・啓蒙活動を行っていきたいと考えております。
実際に協会の活動としては、遅くまで頑張る人達に向けたコンテンツの作成や、イベントの開催等を行っております。
残業中、「一人じゃない」と実感出来る場所として、仕事をしている人達の画像を閲覧出来る場を作ったり、残業している人達同士でコミュニケーションが出来るアプリを作ったりしております。
他には色々な企業や媒体とコラボレーションさせて頂き、残業環境を良くする企画等を行ったりしております。
直近でしたら、タクシーの相乗りアプリを制作されている企業さんとのコレボレーションで、相乗りの促進する企画を打ちました。相乗り文化が広がれば、残業で終電を逃した人も気軽にタクシーを利用して帰れるようになりますし、何よりその場で起こる、人と人との交流が貴重なものになるのではないかと考えました。

協会設立の経緯きっかけは自分自身の仕事環境から

 元々勤めていた会社が遅くまで仕事をする環境で、一人で遅くまで会社に残ることも多々ありました。
捗る事もあるのですが、やはり何日か続くと気持ち的にも萎えてしまい効率が落ちる事もありました。
そんな中、気分転換に夜食の買い出しに出た時にふと見上げると、沢山の暗いビルの中に点々と光っている部屋を見つけ、その時「あぁ、自分は一人じゃない、皆頑張っているんだ。」と実感しました。そう思うと、不思議と負けてられないと元気づけられ、仕事も捗り、結果的に仕事が早く片付いた事を覚えています。この気持ちを共有出来る場を作れば、仕事を頑張る人達の力になれるんじゃないか。と思ったのが一番のキッカケになったと思います。
私は元々人に対して、自分の想いをぶつけるのが何故か恥ずかしいと言うか苦手な部分がありまして、これは自分だけが抱えている想いじゃないのか、只の自己満足なのではないか。などの考えもあり、当初は構想だけで実際に動き出す事が出来ておりませんでした。そんな中、ふとしたキッカケで知人に想いをぶつけてみた所、共感して一緒に動きたいと言って貰う事が出来ました。
不思議なもので、同調して貰える人が現れたことで活動に対してのモチベーションが俄然向上し、本格的な活動に向けて決心する事があっさり出来ました。
この年になってようやく自分の気持ちを発信する事の大切さを知った気がします。その時の知人が、現在の協会の副会長になります。具体的に団体の活動内容を構想していく際には、共感する人達で集まるだけではなく、様々な業種の方とコラボレーションをしていく事で、多角的な角度から応援出来る環境を作ると同時に、発信力を強めていけたらと思い、協会という形を取りました。
今は賛同して頂ける方も急速に増え、様々な角度から残業に対してアプローチする事が出来るようになり、様々な企業の方々からのお話も頂く事が出来るようになりました。その事自体が、現在の活動のモチベーションにも繋がっていると思います。

今後の活動予定

 今後も様々な業種の方々や企業とコラボレーションしていく事で、頑張る方々を応援することが出来ればと思います。残業をする人達を応援する記念日の制定や、仕事環境改善に積極的な企業の表彰、残業する方々の助けになる商品のサンプリングや開発など、楽しんで様々な活動を出来ればと考えております。
具体的に言えば今は、お風呂業界とのコラボレーションを予定しております。
温浴施設は様々な可能性を持った日本の誇るべき文化だと思います。温浴施設ならではの開放感や、様々な温浴効果を得られることで疲れを取る事が出来るのは勿論の事ですが、特殊な「コミュニケーションの場」でもあると着目しました。
「裸の付き合い」という言葉もありますが、不思議な事で、誰かとお風呂に行くとその人との距離がぐっと近づく気がします。一緒にお風呂に入り、普段と少し違う話をして、風呂上がりに一緒に食事や酒を飲む。温浴施設は、そんな最高のコミュニケーションを提供して貰える場だと思います。
そこで私たちは、仕事を頑張る人達にも仕事上がりに、同僚同士や、上司や部下と行って頂きたいと思いました。行くに当たっては少しハードルは高いですが、一旦行ってしまえば、得られるものは何にも代え難いものになると思います。
人間同士の関係性が近づけば、仕事もスムーズに行き、結果的に残業時間の削減、仕事環境の向上にも繋がると考えます。
これを、私たちは「飲みニケーション」に代わる新しい文化として、「湯ミニケーション」とし、「湯ミニケーションプロジェクト」と名付けました。
湯ミニケーションを広げる為、取り急ぎ様々な温浴施設を協会目線でレポートさせて頂いたり、何故か楽曲の作成等も進行しております。

最後に

 もし自分が何かを変えたいと思っていても、力が及ばないような事ばかりに見えるかもしれません。
しかし、自分自身で行動に移すことが出来る限り、変えられない事は無いと思います。私は、自分達の力で自分達の住む国を明るくする事は、必ず出来ると思います。もし活動に少しでも興味を持たれましたら、気軽に協会を覗いてみて頂ければ幸いでございます。
皆様に賛同頂き、一緒に日本を明るくする事が出来れば、これほど嬉しい事は無いです。

 

温浴人最前線

アブドーラ・小林氏

[プロフィール]http://watanabeikuko.jimdo.com/

■1999年  旅行会社入社で温泉好きに
■2001年  ラジオ局に転職
■2007年  FM-FUJI入社で山梨に単身赴任
■2008年  温泉ソムリエを取得
■2011年  東京に戻り、妊娠
■2012年 「東京温泉案内」出版、その後出産
■2014年 「みらいハウス」オープン/「子どもといっしょに行ける家族温泉」出版
現在は、山と温泉と音楽をテーマに取材活動し、JFN、BE-PAL、オールアバウトなどでアウトドア・温泉情報を発信中。

[みらいハウス]www.facebook.com/miraihouse

子育て中の女性に配慮したコワーキングスペースとして子どもを連れて仕事ができる環境を提供、子育てに役立つさまざまなイベントの企画・運営を行っています。

どんなに忙しくても入浴時間をしっかりとれば
もっと健康で楽しい毎日を送ることができるはず。

正しい入浴法について熱く語る子連れ温泉ソムリエ渡部郁子です。

 お風呂好きのアナウンサーだからお湯アナです。たまに「温泉が苦手」という人ももちろんいらっしゃいますが、「温泉」という言葉には、それ自体に人を癒す効果があると感じています。
だから、温泉をもっと多くの人に、もっと気軽に楽しんでもらうための情報発信をしています。

現在2歳の息子を連れて

 温泉やアウトドアの取材活動をするかたわら、子育て中の女性が子連れで働ける環境を提供するコワーキングスペース「みらいハウス」を運営しています。その「みらいハウス」の活動として、小さな子どもを持つ女性にゆっくり入浴する機会を提供する「子ども預かりあいママ入浴デー」を温浴施設様にご提案し、イベントを開催しています。こちらは温泉にこだわらず、子育て中の女性を応援したいと考えてくださる温浴施設様にご協力を仰ぎ、参加者が気兼ねなく入浴を楽しめる時間を提供しています。参加者には、短い時間でも効果的に温まる正しい入浴法や、子どもと一緒に入浴するときのマナーなどについてレクチャーするミニ講座を行い、そして同じお湯好き同士の交流の場となるような、地域に根ざす活動をめざして取り組んでいます。
 大きな湯船に浸かって、体がじわじわと温まってくるあの瞬間。「ふー」と思わずため息がこぼれるあの開放感がなんともたまりません。体を温めれば代謝が良くなるし、免疫力も上がります。
 一日の疲れを癒すリラックス効果もあるから、お風呂に入れば医者要らず。お風呂好きがもっと増えれば、医療費削減につながると思うんです。

そもそもなぜ私が温泉活性化のお手伝いをしているかというと

 私自身が温泉めぐりを始めてからの体調の変化に驚いたからです。仕事が楽しくて仕方ない20代後半の頃、ひどい肩こりや腰の痛み、頭痛に悩まされるようになりました。耐えられずに整形外科に通ったり、整体に通ったり、カイロプラクティックを試してみたり……。症状が一時的に治まることもありましたが、痛みはまたすぐに悪化します。そのころは何が原因か、まったくわかりませんでした。夏の冷房、冬の寒さに、季節を問わず体が冷え切っていたのだと、今ならわかります。あのころ、同僚たちと飲みに行く時間はあっても、ゆっくりお風呂に入る時間はありませんでした。
 ご縁があり、山梨に単身赴任をする機会をいただいたときに、まわりに温泉がたくさんあった
ことから温泉めぐりをするようになりました。
もともと温泉が好きで、都内でもいろいろとめぐってはいたのですが、単身赴任だからこそ一人で温泉に行く時間をたくさん取ることができたこともあり、週に5日は温泉に通い続けました。そのうちに、東京よりもよほど寒い山梨の朝晩の冷え込みにも体が動じないことに気が付きました。あれほど悩まされていた肩こりも、いつのまにかなくなっていました。その頃、すでに温泉ソムリエの資格を持つエネルギーの森一弥さんとお仕事でご一緒させていただいたときにすすめられ、私自身も温泉ソムリエの講座を受けてから、温泉だけでなく温浴自体に素晴らしい効果があることを再認識することができました。
 忙しいからと、お風呂に入ることを面倒がってはいけない。特に体が冷えがちな働き盛りの女性にこそ、入浴の大切さと私の体験をお伝えしていこう、と心に決めたわけです。

温泉ソムリエとして、

 都心で働く忙しい女性向けに、日帰りで旅行気分を味わえるような温泉施設をご紹介したり、時間がなくて温泉に行けない、という方向けに、すぐ近くにある温泉をご案内したり、温浴による健康効果やダイエット効果などをお伝えする講座を開くなどの活動を続けています。遠くの温泉もいいけど、すぐ近くにこんなに素敵な温泉がたくさんあるよ、と伝えることで、年に一度の温泉体験を、月に一度、週に一度に増やすようなご提案をしてきました。2012年に「東京温泉案内」という本を出したのもそのためです。あの本がきっかけで、多少なりとも「東京の日帰り温泉」ブームを生み出すことができたと自負しております。

実は本を出した頃はちょうど妊娠中。

 大きくなり始めたお腹を隠しながら、温泉取材を重ねていました。当時はまだ妊娠初期と後期は禁忌症扱いだったため、あまりおおっぴらに入浴することができなかったのです。それでも妊娠中も、他の人に比べたら十分に温泉を楽しんでいたわけですが、本が出て、そして子どもが生まれて、それまでの温泉生活から一転、まったく満足な入浴ができない毎日が始まりました。
 最初の3ヶ月ごろまでは寝ている子どもを置いて入浴時間を取ることができたものの、子どもが動き始めて目が離せなくなると、もうお風呂に浸かる時間はまったく取れなくなりました。平日は帰りの遅い夫をまたずに子どもをお風呂に入れなければなりません。まだ立つことのできない赤ちゃんをお風呂に入れて、あがって服を着せるまで、どうしたって一人でやるには限界があります。子どもに服を着せる頃には、私の体は冷え切って、入浴のたびに風邪を引きそうな寒気を感じることもしばしばありました。
 地域のママ会などで集まると、腰の痛みや腱鞘炎、ひざが痛くてたまらないなど、生後6ヶ月を過ぎた頃から体の不調を訴えるお母さんが多くなったのを覚えています。私自身も生後6ヶ月から9ヶ月の頃、ちょうど季節が秋から冬になるころだったことも原因のひとつなのでしょう。足首やひざが痛み出し、朝はうまく歩けないほど痛む日も出てきました。これはいったい何なのか。病院で検査していただいた結果、先生はひとこと「血液や骨に異常はありません。ゆっくりお風呂に入ってみてください」といいました。「ああそうか。」とそれを聞いて力が抜けたのを覚えています。
 小さいとはいえ相当の重さのある子どもを一日中抱っこして、腕や腰を酷使している状態で、さらに入浴できない状態が追い討ちをかけて、冷えて体が痛み出す、という状態で困っている母親たちのなんと多かったことか。「ゆっくり入浴」することがこの時期一番難しいことなのです。
 だから最近は、小さな子どもを抱える女性たちがゆっくり入浴できる機会を提供する活動に力を注いでいます。

核家族化が進み、地域社会のつながりが薄れる現代の日本で

 母親同士がつながり地域コミュニティを再構築することがどんなに大切かを思い知ったからこそ、それをつくることができる温浴施設様に働きかけて、ご協力を仰ぎ、一緒に世の中を良くする仕組みづくりに貢献していただく活動を続けていきたいと考えています。

 

温浴人最前線

アブドーラ・小林氏

[プロフィール]

■1975年 東京都墨田区生まれ。
■2003年 とうきょうスカイツリー駅より、ダッシュで26秒15の「薬師湯」三代目店長に。
釜場やフロント、オフィスワーク、掃除までこなすオールマイティプレイヤー。銭湯のストロングスタイル伝承者、湯の遺伝子を継ぐ者。得意技:セントーン。

[(有)薬師湯]

昭和28年創業。スカイツリーの目の前、とうきょうスカイツリー(業平橋)駅から徒歩1分26秒の場所にある「薬師湯」は、今では珍しい薪を使った銭湯。15時30分~25時30分迄営業。 日替わり薬湯も人気。サウナで汗を流した後は広いロビーで冷たいビールを。『手ぶらセット(タオル・シャンプーなど)』手ぶらで来ても大丈夫!

燃えたぎるのように

我は生まれながらの銭湯命人である

 徳川三代目将軍家光公が、苦難の末将軍職に就いた際言った
「我は生まれながらの将軍である」と…。
家康が築き、秀忠が土台を作った徳川幕府。そんな好状況で継ぐことになった自分が、将軍職を天職とし繁栄させていくという強い意志の現れだったと私は思う。
いまだ修行中の身でありますが、薬師湯三代目の私もいつか宣言したい「我は生まれながらの銭湯命人である」と。
 銭湯命人とは薬師湯創業者の祖父のよう、銭湯に生涯を捧げライフワークとし、お客様に至福のひとときをご提供するため、職人としてお湯一滴一滴に愛を込め沸かし、次もまた来たいと思われる接客を一人ひとりに心掛け笑顔でお帰り頂くことで、自分自身をも至福のひとときを過ごせるレベルまで達するものだと考えております。私はまだその域に達することが出来ず、日々精進しております。
 もの心ついた頃から銭湯命人になるべく英才教育でした。幼少の頃始めた茶道で『おもてなしの心』を学び、その後剣道で『礼儀』、野球では『チームワーク』、ボクシングでは『精神論』を学び、学生生活終了後「10年は外で学んで来い」と言う父である薬師湯二代目の命により調理師として修行、個人店やチェーン店も経験し、調理のほか接客、発注、経理等を経験し『ビジネススキル』を磨かせて頂き、そしてとうとう薬師湯を継ぐことになったのです。長々と連ね書きましたが、正直すべてあと付けです。直接は銭湯に関係ない事柄ですが、思い返すと全て糧となり、今に生かせてると思います。もちろん全て順調に行ったわけではなく、どんなに努力しても結果が伴わない事もありましたが。しかしどんなことでも真剣に取り組んだその過程は、成功も失敗も含めて銭湯命人を目指す自分の礎となっていると思います。

守っていくべき伝統

 調理師として10年経った頃、「そろそろ薬師湯をやってみないか」という父の誘いがありました。調理師として脂が乗ってきた私でしたが、「時は来た!それだけだ」と吐き、継ぐことを宣言しました。
 薬師湯を継いだ私が取り組んだのが、毎日来ても飽きない店作りでした。内風呂普及率が99%と言われている現在、いかに毎日来て頂けるか。
それには改装が必要だと考えたのですが、当店はビル銭湯で真上は病院や賃貸マンションのため、大規模な工事が出来ないという事でした。建築当時は最新であった当店も現在築 年となり、よくメディアなどに取り上げられる銭湯に遅れを取っているのが実状でした。そこで最新の設備が無くとも出来ることとして強化したのが、日替り薬湯やイベント風呂でした。その一方で守っていく伝統もありました。昭和28年の創業以来続けている、今では珍しい薪で沸かす湯です。薪で沸かすことは経費削減になりますが、約45分毎に重い薪をくべ、時にはチェーンソーなどを使い大木を切る事などもあり重労働でした。継いだ当初の頃の事です。隠居している祖父が釜場に来て言いました。
こだわりの薪焚き「うちが薪を続けるのは、燃料費の削減はもちろん、お湯が違うのだ」「薪で沸かすお湯は柔らかいのだ。大変だが頑張って欲しい。」と。稀に薪が無くなり、重油で沸かすことがありましたが、私には違いが分かりませんでした。お湯の柔らかさが違う!?信じ難いものでした。
 それから程なくしての事でした。祖父が入浴後「今日は薪じゃないな」と言うのです。当てずっぽうで言ってると思いましたが、その数日後もそのまた数日後も当てるのです。「なぜ分かるの」と聞くと「考えるな、感じろ」と・・・。それから得意気にニヤリと笑うのです。残念ながら私は、まだその域に達する事ができていません。

水深1メートルへのダイブ

 そんな祖父が病に倒れ、死の淵をさまよった事がありました。幸いにも一命を取りとめましたが、入院中早く帰って大きなお風呂に入りたいと愚痴をこぼしておりました。後日無事退院し、念願の入浴。その日は運よく柚子湯でした。湯船にかおる柚子の香りとスベスベの湯。祖父は今にも極楽極楽と言いだしそうな、満足気な顔をしておりました。それを見た私は生の食材などを使った楽しいお風呂を、もっともっとたくさん祖父に入って貰いたいと思い、数々のイベント風呂を開発していったのです。イベント風呂を手がけることによって、お客様も徐々に増えていき相乗効果の賜物でした。調子にのり連発していったのですが、大失敗をしてしまったことがありました。
 青梅湯です。湯船一面に浮かぶ数千個の青梅。
赤いお湯とのコントラスト。今日も成功だと私は確信しました。しかし開店2、3時間後のことでした。「お風呂が循環していない。梅も全く無い!」と連絡が。私は目を疑いました。数千個浮かべた梅が一つも見当たらないのです。湯船の底深くに沈み、循環口をふさいでしまっているのです。しかも入浴剤と梅エキスのせいで底が見えません。深い所で水深1メートル。手探りではキリがないと思い、私は慌ててシュノーケルを装着し循環口に向かってダイブです。まさか銭湯で、シュノーケリングとは…。なんとか詰まっている梅を取りだしましたが、まだ無数の梅が転がっています。もう一度ダイブし梅をかき集め顔をあげると、信じられない光景が。何人ものお客様が一緒になって梅をかき集めてくれていたのです。お陰様で無事梅を回収することができ、お客様にお礼を言いますと「いつも面白いお風呂、楽しませてもらってるよ。ありがとう。」「毎日来ても飽きないお風呂をありがとう。」逆にお礼を言われてしまったのです。私はそこに〝薬師湯愛〟を感じました。この愛はお風呂で返そう、そう思いダイブして濡れた顔をぬぐいました。その中に、涙がまじっていたのは秘密です。

燃えたぎる薪のように

 来年100歳を迎える祖父は、口癖のように言います。「世のため人のため…」「嫌なことがあった人には、その心を洗い流し、明日を幸せにする。」「幸せな人には、その心をさらに温め、明日も幸せにする。」「そうすることによって、湯船いっぱいになった溢れでる幸せを、自分も得ることが出来る。銭湯はそれが出来る商売だよ。」と。
まさに〝銭湯命人〟
です。私はそんな銭湯命人を目指し、今日も薪を燃えたぎらせ、黙々と開店の狼煙をあげる。

 
 
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